東京高等裁判所 昭和43年(ネ)2111号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕被控訴人は、本件金銭消費貸借による債権は商人の性格をもつ信用金庫の貸付という商行為によつて生じた債権であるから商法五二二条の適用があり五年の時効によつて消滅したと抗争するので、これについて判断する。
信用金庫は、一方において不特定多数人から金銭または有価証券を受け入れ、他方これを必要とする者に融通するいわゆる銀行取引(金銭または有価証券の転換を媒介する行為)をすることを業務の一内容とするものであり、しかも独立の経営単位として右業務を行なうに際しては少なくとも収支の相償なうことを目的として反覆継続するのであるから、信用金庫が需要者に対し金銭貸付をすることは銀行取引を営業としてするにほかならないため、いわゆる営業的商行為に該るものというべきである。控訴人の主張するごとく信用金庫が主として会員の協同組織によつて会員に奉仕し、その経済的地位の向上をはかることなどを目的としているとしても、それによつて右にあげた金銭貸付行為の法的性格に格別の消長を与えるものではない。したがつて、本件金銭消費貸借は信用金庫たる控訴人にとつては商行為であるため、その貸付行為にもとづいて生じた本件債権については、中断事由のない限り、弁済期日の翌日から起算して五年後の昭和三八年二月二八日の経過により消滅時効が完成するといわねばならない。(多田貞治 上野正秋 岡垣学)